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「利用者が3年もいることがあったんです。」
と語るのは老健の職員、新田妃子。老健の入所期間は最大で半年から1年であることが普通だ。
運営上は3ヶ月ごとに継続見直しが行なわれ、家庭帰還をして頂く。
これが通常の流れであり、老健の理念だ。
H14年に入ってきた方で既に3名も3年間いる人がいるという。それに関して
文句を言うと、「とにかくベットは空けたくないし、国保連から入る収入を下げたくないから
そんなことは言うな」と思われる。
「利用者に対して優しくない、ちゃんと次を教えてあげなくちゃ駄目だ。」とは
思うものの、なかなかそうはならない。
その間に痴呆度は上がるし、家族が来たことも忘れてしまう。
健康ではなくなっていく。身体能力が見る見るうちに低下した。
「上は何を考えているんだ」
そう思った。現場の意見をちゃんと聞いて、相談室の人が家族の人にきちんと話せばよかったのに。
悔しくて苛立った。
しかし、振り返ってみると、少しいらいらしているときにやさしくない言葉や態度でいわれてしまうと
優しくない態度を取ってしまうこともあったという。言ったあと、すぐ反省し、自己嫌悪に陥り、
私はこの仕事に向かないとさえ、思うこともあった。
そのとき、こう気持ちを切り替えた。
3年もいることは本来ありえないことだが、ただただ自分の仕事に責任を果たそう。
利用者に、罪はないんだから。
そこで思いついたのが秋祭りだった。少しでもみんなが楽しめるように、祭りをやろう。
くじびき、ヨーヨー、射的、三味線、お神輿。
おもしろそうな企画を立て、ボランティアでやってもらえないか、と頼んでまわる。
職員は徹夜で作業をし、利用者をいかに楽しませるか、ということに対して、
職員が一丸となった。

秋祭りがはじまった。
「結果は大成功だった」と新田氏は語る。
すぐ横になりたがる人が5時間近く笑顔で座っていた。ほとんどの家族が来てくれた。
もの忘れがある人でも盆踊りの曲がかかると、「盛大なお祭りだったね」と思い出してくれた。
「職員の苦労が伺える」と家族は絶賛した。
「昔の自分の様な人にこう言いたい。」
新田氏は言う。
「諦めるな、自分の意見をしっかりと言わなくてはいけない。
職場の雰囲気も少しづつ、変えていきたい。どんどんいい人が入ってきてもやめたくなるような職場ではいけない。みんなでそうならないようにがんばりたい!」
結局は人と人がつながって、エンターテインメントは構築される。
そして、誰しもがそのエンターテインメントの種を持っている。
後はそれを行動し、楽しんでもらうだけだ。
シルバーエンターテインメントのヒントは意外に近い場所にあるのかもしれない。
投稿者 窪田望 : 2004年09月28日 01:23
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