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台湾に来ている。当然、気になるのは台湾の高齢者事情だ。
タクシーでホテルに移動中に運転手に聞いてみる。
「台湾では、高齢者をデイケアサービスや、老人ホームに入れることに関して
どう思いますか?」返答はこうだった。
「なにそれ?」
台湾ではそもそも、老人ホームやデイケアサービス自体が少ない。
家族の介護が当たり前、という文化である。台湾大学公共衛生研究所の呉淑瓊
副教授の調査によると、20~64歳の一般国民のうち、6割の人が、何らかの障害
を持つお年寄りを家庭で世話するのが理想だと考えている。3割の人はコミュニティー
での療養、1割の人が介護施設へ送ることに賛成している。
こういうデータや台湾運転手の反応は昔の日本を連想させる。
日本でも、長い間、特別養護老人ホームへの入所には所得制限があった。
しかし、その後の経済発展、核家族化、女性の社会進出などで、なし崩し的に
家族の機能が弱体化し、介護までも社会化が求められるようになった。考えて
みれば、劇的な転換だ。
台湾では現在、安定した伝統的家族形態は減り、新しい形態の家族が次々と
出現しているが、それらの構造は脆く、不安定だ。台湾の家庭は、西洋諸国の
それより複雑である。彭懐真副教授によると、台湾では離婚しても一緒に暮らし
て家族を演じ続ける人もいるし、離婚せずとも、他人のように暮らしている夫婦も
いるという。
単親家庭、子連れ再婚家族、別居家族、単身赴任家庭などが急激に増え、親が
家にいないために祖父母が孫を育てる家庭も増えつつある。さらに、外国人メイドや、
おじ・おばといった親以外の人が子育てをするケースも少なくない。
これは日本が辿った高齢者介護サービスの兆候とも取れる。果たして、台湾は今の
純粋な思いである「お年寄りを家庭で世話する」理想を守り抜くことが出来るのか。
今後、アジア全体の動きがこれまでの日本とは別の形で動き、モデルケースとなること
を祈る。
投稿者 窪田望 : 2005年01月01日 02:15
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